科学へジャンプ・サマーキャンプ2017 報告
Jump-to-Science Summer Camp 2017 Report
目的
視覚に障害のある生徒が科学にチャレンジする機会を創出し,視覚障害者同士,指導者および支援者同士のネットワークを形成する。
Jump-to-Science Summer Camp 2017 Report
視覚に障害のある生徒が科学にチャレンジする機会を創出し,視覚障害者同士,指導者および支援者同士のネットワークを形成する。
日程:平成29年8月10日(木)~13日(日)
会場:あいち健康プラザ(愛知県)
対象:広い意味での科学分野(数学,情報,自然科学,社会科学,工学,医学,理療など)に関心を持ち,視覚障害(全盲または弱視)のある中学生・高校生
参加者:中学生11名 高校生9名 (保護者3名)
スタッフ:50名 (内 学生サポートスタッフ29名)
主催:NPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネット
実施:科学へジャンプ・サマーキャンプ2017実行委員会
助成:独立行政法人国立青少年教育振興機構「子どもゆめ基金」
後援:全国盲学校長会
<1日目:8月10日>
14:00~15:00 受付/オリエンテーション
15:00~15:20 開会式
15:20~18:00 ウェルカムイベント
19:30~21:00 先輩との談話会
<2日目:8月11日>
9:00~10:30 ワークショップ1
10:45~12:15 ワークショップ2
13:30~17:30 先輩大学生達による企画 「みんなの広がる未来へジャンプ!~先輩達の今は~」
19:30~21:00 コミュニケーションタイム
<3日目:8月12日>
9:00~10:30 ワークショップ3
10:45~12:15 ワークショップ4
13:30~16:30 レクリエーション企画「皮からつくる本格焼き餃子」
18:00~21:00 フェアウェルパーティー
<4日目:8月13日>
9:00~10:30 ワークショップ5
11:00~12:00 閉会式
講師の独創性溢れる12種類のさまざまなワークショップに加え,社会や大学で活躍する先輩との談話会,はじめての先輩学生による企画「みんなの広がる未来へジャンプ!~先輩達の今は~」,調理実習「皮からつくる本格焼き餃子作り」,「クイズ大会」等の多彩なプログラムを実施。
(講師:鈴木昌和)
くさび形文字の数字の読み方を学んだ後、この粘土板の拓本の立体コピー図にさわり、どのようにしてその値を計算したのか、推測を交えながら計算にチャレンジします。
(講師:嶺重慎)
月の特徴、太陽系の惑星たちの特徴を学び、なぜ地球に生命が発生したかを考えてみよう。太陽系で生命がいるかもしれない星、火星とエウロパについて学び、太陽系以外にも生命はいるか、いるとしたらどんな生物か、想像をふくらませてみよう。
(講師:井上浩一)
コンピュータに音楽を演奏させてみます。誰かが作った音楽でなくオリジナルで。ちょっと変わった命令の仕方を覚えて挑戦します。間違ったら間違ったように音になる、そんな体験をしましょう。
(講師:本吉達郎)
マウスやキーボードをつかわずに、木のブロックをならべてロボットを動かすプログラムをつくります。うまくゆけば、ロボットが走行コースからはみださないように自分でうごきを調節するプログラムがつくれます。
(講師:田中仁)
いろいろなグラフの上で一番大きな値を計算によって見つける方法を考えてみます。
「鳩ノ巣原理」を使って、最大値の存在を保証する定理を証明します。「鳩ノ巣原理」とは?
(講師:浜田志津子)
ひとりずつ実験操作を自分で行い、身近な化学変化を実感します。乾電池を分解し、そのしくみを調べます。化学電池を作り、電池のしくみを考えよう。
(講師:山口雄仁)
算数・数学で使う基本的な英語表現について学んだ上で、数学的な内容の英作文や、英文の数学文章題に挑戦します。
(講師:丸山訓英)
ジョボブロックを使って正多面体を作ります。どうやったら正多面体を作ることができるでしょうか? 何種類の正多面体があるでしょうか? 実際に手で作って正多面体の世界を探ってみようと思います。
(講師:浜田志津子)
ひとりずつ実験操作を自分で行い、身近な化学変化を実感しよう。
二酸化炭素・酸素・水素の発生とその性質について、体全体で観察します。
(講師:新山祐介)
「音」は、空気の振動を私たちの耳が感じとって聞こえるものです。パソコンを使うと、すべての音は数字として表すことができます。この授業ではさらに音を図形として表して、実際にさわってみることにしましょう。今までにはわからなかったものが見えてくるかもしれません。
(講師:金堀利洋)
アウトドアで鳥を集めるために用いられる「バードコール」の作成を行います。電動ドリル・電動のこぎりなどの工具を駆使して、自分だけのバードコールを作ってみましょう。
(講師:小林真/渡辺哲也)
チームに分かれ、他のチームが隠した「宝物」をGPS機器を使って探します。どちらのチームがより早く、より多くの宝物を見つけられるかを競います。競技後は、GPS技術の基礎を学びます。
(担当:谷口真大/富川尚樹/杉崎信清/林真由美/大塚勇哉/吉本かなこ/高橋利恵子/山本めぐみ)
ドレミパイプで演奏
(担当:愛知教育大サポートスタッフ)
◆先輩やサポーターの大学生、参加者といろんな話をしました。ずっと笑っていたと思います。真面目な話もしました。有意義な4日間でした。
◆「英語で数学をしよう」では、英語で数学をやるなんか今まで考えてもみなかったことでした。でも意外と面白くて、これからもっと勉強したいと思いました。
◆「触って楽しむ宇宙の不思議」では、月や土星の立体模型を触ったりできて、今まで未知の世界だと思っていた宇宙が少しだけ分かったような気がしました。
◆「自分で電池を作ってみよう」のワークショップでは一人ずつ実験操作を自分で行うという自分にはまったく想像のできなかった形でやらせて頂き、わかりやすく楽しく実験を行うことができました。
◆「バードコール作製」では、電動ノコギリや電動ドリルを使うという貴重な体験ができてよかったです。特に印象に残っているのは、電動ノコギリを使ったときの振動です。
◆GPSで宝探しは、ほぼ誤差なく宇宙空間からの信号によって場所を特定できることを知り、あらためてすごいと思いました。
◆ロボットのプログラミングのワークショップでは、木のブロックに示された、ロボットに命令するためのマークがわかりやすかった。命令の種類によってブロックの形が異なっていて、触った感触を頼りに命令の準備をすることができた。ロボットが命令したように動いた時は感動した。
◆「音の形を触ってみよう」では、生まれて初めてパソコンを組み立てました。自作パソコンは僕にとってアニメの中の世界のものだったので、とても興奮しました。失明してからいろいろな種類の音の形をこんな形で触察できるとは思いもしませんでした。そして、この世の中に存在するすべての音は、波の組み合わせでできているという事実がとても興味深かったです。
◆目が悪くても数学はできるのだ、とうれしくなりました。いつもは授業の進行が早くて、「あー、ちょっと待って」ということが結構あり、切羽詰っているけど、ここでは「読めてる?」と声掛けしてくれたので、いつもより気楽に受けられました。内容も興味深く面白いものでした。
◆盲学校はどうしても人数が少なく、みんな狭い世界にこもってしまいがちです。でもこの企画に参加したことによって、全国の盲学校の人に出会えて、連絡先も交換し、いつでもどこでも話せるようになりました。