科学へジャンプ・サマーキャンプ2015
Jump-to-Science Summer Camp 2015 Report
目的
視覚に障害のある生徒が科学にチャレンジする機会を創出し,視覚障害者同士,指導者および支援者同士のネットワークを形成する。
Jump-to-Science Summer Camp 2015 Report
視覚に障害のある生徒が科学にチャレンジする機会を創出し,視覚障害者同士,指導者および支援者同士のネットワークを形成する。
日程:平成27年8月12日(水)~15日(土)
会場:あいち健康プラザ(愛知県)
対象:広い意味での科学分野(数学,情報,自然科学,社会科学,工学,医学,理療など)に関心を持ち,視覚障害(全盲または弱視)のある中学生・高校生。
参加者:中学生6名 高校生12名 (保護者3名)
スタッフ:62名(内 学生サポートスタッフ38名)
主催:NPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネット
実施:科学へジャンプ・サマーキャンプ2015実行委員会
助成:独立行政法人国立青少年教育振興機構「子どもゆめ基金」
後援:全国盲学校長会
<1日目:8月12日>
14:00~16:00 受付/オリエンテーション
16:00~16:20 開会式
16:20~18:00 ウェルカムイベント
19:30~21:00 先輩との談話会
<2日目:8月13日>
8:45~10:15 ワークショップ1
10:30~12:00 ワークショップ2
13:30~15:00 講演会(堀内佳美氏)
15:00~17:00 グループワーク「夢のITツールコンペ」
19:30~21:00 コミュニケーションタイム(点字百人一首他)
<3日目:8月14日>
8:45~10:15 ワークショップ3
10:30~12:00 ワークショップ4
13:30~16:30 レクリエーション企画「肉まん作り」
18:00~21:00 フェアウェルパーティー
<4日目:8月15日>
9:00~10:30 ワークショップ5
11:00~12:00 閉会式
全盲ながらタイで活躍する堀内佳美氏の講演会,さらに講師の独創性溢れる16種類のさまざまなワークショップに加え,はじめての企画であるグループワーク,社会や大学で活躍する先輩との談話会,肉まん作り,点字百人一首,クイズ大会等の多彩なプログラムを実施。
(講師:児玉康一)
光センサを使って、光の強弱をモータの振動の強弱に変える装置(感光器)を作る。また、音声電圧計や電流計を使って、光センサーの性質や、装置の仕組みを調べます。
(講師:鈴木昌和)
アルキメデスの墓には、その遺言に従って球の体積に関する彼の発見の内容が刻まれていたと伝えられている。その導き方を模型を使って求めます。
(講師:井上浩一)
コンピュータに音楽を演奏させてみます。誰かが作った音楽でなくオリジナルで。ちょっと変わった命令の仕方を覚えて挑戦します。間違ったら間違ったように音になる、そんな体験をしましょう。
(講師:渡辺哲也・小林真)
身近になってきたGPSの原理について学び、実際に外を歩いてスマートフォンなどを使って地球の直径を測ってみます。
(講師:新山祐介)
迷路を脱出する架空のロボットをプログラミングします。「人工知能」というとなにか大仰なものに聞こえますが、その基本は膨大な組み合わせの中から正しい答えを探しだす「探索」にあります。ここでは単純な操作の繰り返しから、かしこそうな動きが生み出されることを学習します。
(講師:関場理生)
堅苦しい演劇ではなく、シアターゲーム等も取り入れて自由に表現ができる場にすることが目標です。その中で、即興で劇作りを行い相手と楽しくコミュニケーションをする体験をしてほしいと思います。
(講師:山口雄仁)
算数・数学で使う基本的な英語表現を勉強した上で、英文の数学文章題に挑戦します。
(講師:谷口真大)
コンビニってどんな場所? 皆さんはセブンイレブン派? ファミリーマート派? それとも…。 どこにでもあるコンビニ、でもそれらには隠された違いがあります。 皆さん自身で理想のお店を作りながら、その秘密を探ろう!!
(講師:氏間和仁)
写像公式の変形式を利用して仮説をたて、実験を通して確認する活動を通して、像が網膜に映る仕組みを考えます。
(講師:新山祐介)
なぜ世の中には、いくつもの違った音があるのでしょうか? それぞれの音はどこがどう違っているのでしょう? このワークショップでは、世の中のいろいろな音をパソコンを使って分析し、音の本当の姿をさぐります。
(講師:高村明良)
偉大な数学者オイラーは、散歩道を考えたことが新しい幾何学を作るきっかけとなりました。オイラーの気持ちになって、「池のある公園」の散歩道をみんなで考えることから始めます。よく見て、よく考えて、みんなで話し合うことで、オイラーが発見したことを見つけましょう。
(講師:鳥山由子)
江戸時代の蘭学者による「舎密開宗」(せーみかいそう)という化学の本にある「ポットアスの炭酸を調べる」と題した実験を改良しました。上皿てんびんを使って炭酸カルシウムに含まれる二酸化炭素の量を調べる方法を工夫して実験で確かめましょう。
(講師:堀内佳美)
今興味があることや可能性などから、将来の可能性を皆さんと一緒にシミュレーションしてみたいと思います。
(講師:高村明良)
最初に立方体の積み木を触りながら何種類の展開図ができるか考えます。次に、展開図をよく観察して、みんなで話し合いながらそこに隠されている特徴を発見しましょう。
(講師:南谷和範)
日々の生活には悩むことがたくさんあります。たとえば、同じ値段で1房5本のバナナと1房4本のバナナが並んでいるとき、どちらを選ぶべきか。実際の測定を交えながら、このような問題に統計的考え方で立ち向かう方法を勉強します。
(講師:柴田直人)
月にうさぎは住んでいるのでしょうか? 月の表面はどのようになっているのでしょうか? 立体月球儀などを活用して、月の表面の秘密を調べましょう。
グループに分かれて「こんなITツールがあったらいいな」を討議して、最年少者が発表しました。将来、ここで提案されたツールが登場することを期待します。
肉まん作りで苦労したのは、具を包むところでした。形は歪んでしまいましたが、味は格別でした。
クイズ大会
駅・空港への送迎
堀内さんの話で印象的だった言葉は「やりたくないことを長く続けるよりやりたい事を長くやること、自分にあわないと思ったら自分がやりたい事に変えていけばいい。その方が自分のすることに責任が持てる」です。将来、進路を考えるうえでとても大切な事だと気付かされました。
サマーキャンプで私が学んだことは、声を出すことと自分の意思を強く持つことの大切さです。自分が広い世界を知るためには、誰かに話しかけるなどして、声を出さないといけないこと。そして広い世界に出るためには、自分でどんな世界に向かっていくのか、選択しなければならないこと。そしてこの二つはどちらも楽しくて素晴らしいことだということです。
今年も、このキャンプに参加できて本当に良かったと思っています。いろいろな人たちと話をするうちに、自分の個性や成長するべきところが見つかりました。私は、一人クラスなので、このような機会はとても大切です。
感光機を製作した授業では、完成した時の達成感があり、記念品と思い出になりました。理想のコンビニを考える授業では、商品の配置などの違いから、受講者のみなさんの個性的な意見が聴けておもしろかったです。
「網膜に像が映る仕組みを理解しよう!」で、像が映る様子を観察するための実験に使用した装置はとても大型で内部にはiPadが組み込まれていました。この装置は視覚障害者でも実験が分かりやすく行えるよう、工夫が凝らされていると思いました。二人一組で行った実験では、ペアの人とコミュニケーションが取れたのでよかったです。
「夢のITツールコンペ」では、各班独自の意見がとても面白かったです。また、話し合いを通じて無意識に班のみんなで知識の交換ができるという思わぬ収穫もありました。